ノッポさん

NHKの子供番組「できるかな」でおなじみの高見のっぽさん。「ノッポさん」として30代から50代にかけて出演した。充実した仕事の一方で、葛藤もあったそうだ。
「工作や絵は苦手です。小さい時から」。4歳のころ、模型飛行機を作ろうと竹ひごを曲げていたがうまくできず、失敗した竹ひごが山積みになったそうだ。母親が「あんたみたいなぶきっちょな人は見たことないわ」と笑った。「この一言で、手先の器用さに対する希望を失ったんです」
だから「親はわが子の弱点をけなさず、優れた点だけほめて。母はひと言多かった」と言う。一方、父親はどんな時も「たまたま運の悪いところにいるだけで、この子がダメなわけではない」と疑わなかったという。「死ぬまで私を買いかぶっていました。親父のそばにいるとわたしは安心でしたよ」と話す。
芸人だった父親のカバン持ちを高校生から始めたという。映画で見たダンサーに憧れ、17歳ごろタップダンスを習い始めたそうだ。テレビの仕事に足を踏み入れたが、番組が翌年も続くのか心配で「12月はいつも不幸せだった」という。もうやめようとしたとき、「ノッポさん」の仕事が舞い込んだそうだ。
「できるかな」で帽子姿のノッポさんは、セリフなしで相棒のゴン太くんに工作を作る。苦手な工作だが「一生懸命やるしかない」と思ったそうだ。紙にテープを貼っても、すぐにはがれてしまうことも。だからこそ、できた時は本当に喜んだ。不得意な絵を描いていたのは「好きな音楽に乗ったから」。
人気者になり、失敗するのが怖くてノッポさん以外の仕事を断り続けた時期もあったという。個人の自分には何があるのか。今後どうしよう。40歳を過ぎて、「今までの自分には何もないと認めよう」と、絵本や番組の台本など新たな分野の仕事に挑戦したそうだ。
現在81歳と高齢のノッポさん。あのノッポさんが自分が不器用なことをコンプレックスに思っていたなんて意外だった。そんなノッポさんが一生懸命工作をすることで、多くの子どもたちは魅了されていた。お父さんの言葉は正しかったのだろう。